音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
うーん、いっくんにクリスマスの時の言葉の意味は何って聞こうかな?

聞いたら分かるかも。



……… あれ?


隣を歩いていたはずの優ちゃんがいない。 どこ行ったんだ?


右にいない。 前にもいない。
……… と、言うことは。


「優ちゃん?」


後ろを振り返ってみた。


「………」


目を大きく開け、立ち止まる優ちゃんがいて…… あたしの声。 聞こえている?


「おーい、優ちゃーーん」


「……… まお、今のマジ?」


「うーん、マジかなー」


立ち止まる優ちゃんに近付いて、手を引っ張って前に進む。


なんだかこうでもしなきゃ優ちゃんが動かないっ!感じで子供みたい。



「まおー!」


「な、何?」


――― ガバッ!


「ヴッ……」


どうしたの。
優ちゃんがあたしに抱きつくなんて、珍しいよ。


せ、背中が…… 重い。


いっくーん。
ちょっと、助けてー。





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