音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
普通だったら、髪を触られたりするのは嫌。 でも、いっくんはあたしが嫌だと感じたらすぐに辞めてくれる。


「俺さ、将来やりたい事があるんだよ」


ポツリ、と…… いっくんがあたしの頭の上で一言こぼした。


あっ! それ。
さっき陽太くんが言っていた。


あたしはそれも気になってここへ来たんだ。



「いっくんって将来何をやりたいの?」


いっくんの腕から離れた。


「ん、聞くか?」


いっくんがイスに座り直した。


なんだか初めて聞くかも。

いっくんの夢でしょ?
考えただけでも、胸が大きく鳴る。


聞きたい、聞きたい!
チョー、気になる。




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