パニック症候群

「お父様ったらまた執事増やしたって。」

「らしいですね」

あたしの愚痴を聞いているのは、執事の
本山の奥さんの房ばあ。

「しかも今度はあんなオレンジ頭の男。
いらないっつの!」

ぼふっと近くにあったフランス製の
クッションを壁に投げつける。

「旦那様の趣味ですもの。
しょうがありませんわ。」

「ほんっと、あのはげの趣味にも
困ったもんだよね。」

「杏里様、表裏が激しすぎますわよ。
いつかボロが出ますよ。」

「平気平気!あたしこれでも使い分け
うまいんだから!いつもお父様の言うとおりに
してたらあたしまではげちゃう。」

「それならいいですけど」と房ばあは
心配そうに言った。

お父様の趣味は執事&メイド集め。
しかも何やら変わった…いえ、個性的な
人が多い。魔術に詳しい人、変な実験
ばっかりしてる人、アニメおたく、
神経質な人、霊感が激しい人、
異常な動物好き、etc...

これでも十分濃いってのに次は
オレンジ頭のヤンキーときた。

もーあたしとしては頭が痛いことだ。
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