僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
「ごめんごめん!」

「早く、そんなヤツが…現われるとイイな!」

「…居るよ!とっくにあたしには!」

「心にじゃないよ。目に映って、ホントに触れる生身の人間だよ!いつもそばに居てくれて、喜びを分かち合える…そんな」


徳幸は、あの日の未知子の言葉を借りていた。


「トク、どうしたの?」

「人の温もりが必要と感じる時が…そのうちきっと…茜ちゃんにも」

「知ってるよ。」

「え?」

「…」


そう言って、茜はピアノを弾きはじめた。


「え…、それって?」


徳幸は信じたくない気持ちからか
茜の話に混乱していた。


「自分から言っといて何?経験が無くったって、分からない歳じゃないでしょ!」


ピアノを弾きながら、こっちを見ずに言う茜の態度からも、
徳幸は、確信した。


「あたしには何でも話せる兄貴がいるし、何の心配もいらないから!トクは自分の気持ちに正直に……あたし、同情されるのが一番嫌いなの!嫌なこと思い出しちゃうじゃん!」



それから防音室まで、どうやって戻ったのか、
全く記憶がない徳幸は、
思いもよらず、
かなりショックを受けていた。


そして、タカの顔を思い浮かべては、

(あの男ならありえるか…)

と、勝手に納得をするのだった。
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