狂愛~狂うほどに君を~
『ルーカスはリリィを手に入れるために、ディランとオリヴィアにリリィを渡せと脅迫したんだ。でもディランとオリヴィアはかわいい娘をそんなふうには渡せないって断ったんだよ・・・。そしたらね、ルーカスはリリィの心を操ると言ったんだ』
リアムは泣きそうな表情になる。
幸せに過ごしてきた日々を思い返してしまうと、リアムはどうしても辛くなってしまうのだ。
リリィは小さい頃、勉強のために人間界へとやってきていた。
森で遊んでいたとき傷ついた赤ちゃん狐をみつけ、手当をした。
その狐が実は精霊で、リリィに懐きリリィの守護霊となったのだ。
それが、リアム。
それからは毎日リリィとリアムは一緒に過ごし、親友のような兄弟のようなそんな関係を築いてきた。
ずっと、一緒にいられると思っていた。
リリィもリアムもお互いに。
『そんなことあってはならないって、ディランとオリヴィアはリリィをルーカスから隠すことに決めたんだ。人間界で人間として生きていけるよう、リリィの記憶を書き換えて』
『で、リアムもリリィから引き離されたのか?』
千からの質問に違うんだ、と頭を振るリアム。
『ディランとオリヴィアは僕にリリィをお願いって、一緒に行かせてくれようとしたんだ。だけどね、ルーカスに見つかって・・・リリィを人間界にやるのが精いっぱいだったんだ。僕には守護霊としての力があっていつでもリリィがどこにいるか分かるから、ルーカスは僕を捕まえて利用しようとしてたの』
そこからの話は、なんとなく千にも分かってしまった。
『ディランとオリヴィアは・・・心を奪われちゃったんだ!今はただの、お人形なの・・。ルーカスはリリィを捕まえてリリィの心を奪って無理矢理結婚してしまうつもりなんだよ!!』
リアムは立ち上がり、叫びだす
『お願い、千!リリィを・・ゆずを守って!!ゆずの心をルーカスなんかに奪わせないで!!』
リアムの悲痛な叫びを受け止める千。
握った拳に力が入る。
『リアム、話してくれてありがとう』
千も立ち上がりリアムの頭をそっと撫でる。
絶対にゆずを、他の誰かに渡したりなんてするものか。
どうするべきか千は思案する。