狂愛~狂うほどに君を~


数時間かけてついたのは北の地に存在する深い森。

見渡す限り銀世界に埋もれている木々たち。

凍えてしまいそうなほど冷え切っているここがゆずとリアムとが出会った場所だ。


『キレイなところですね』

『ああ、そうだな』


キラキラ輝く銀世界に目を奪われるゆず。


そんなゆずの頭にポンと手を置き目を細める千。



『ゆずと千ラブラブだね!』

『オレっちのリリィ様なのに・・』

『ははは、慣れてくださいねイアン』



そっと距離を置きゆずと千を眺めていたのは泉とリアムとイアン。

移動時間も千がゆずの元を離れることは一切なく、それを微笑ましげにみつめるのが泉とリアム。

ゆずを奪われて不機嫌になっているのがイアン。

マクベスは無言を貫いていた。



『ボクがゆずと出会ったときは雪の降る季節じゃなかったなぁ・・・』

『おや、そうなんですか?それは少し参りましたねぇ』



出来るだけであった時と同じ条件を揃えたかった泉にとっては少し考え物な発言だ。



『んー・・でも雪もみた覚えがあるような気もするなぁ』

『もしかするとこの雪の中に雪のない部分があったりするのかもしれませんね。手分けして探しましょう』



泉の言う通り、二人一組で手分けして探すこととなった。


ゆずとリアム。


千とイアン。


マクベスと泉。



『いいか、何かあればすぐにシークレットストーンをつかえ。駆け付ける』

『分かりました・・・』



千はゆずと離れることに関してあまりいい顔をしなかった。


しかし、ゆずとリアムを引き離しては意味がない。


泉はマクベスがいればほぼ敵なしだ。


そうなってくれば千とイアンの組み合わせが最善となるのだが・・・。


イアンは千をあまりよく思っておらず、むすっとした表情。



『・・・行くぞ、サル』

『オレっちはサルじゃないやい!それにただのサルじゃなくてメガネザルだ!』

『早く来い』

『むうぅう!!』



早々に去りゆく千とイアンをみて、ゆずと泉はため息を吐くほかなかった。




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