企画小説

ピンポンピンポンピンポン…


延々とやまないんじゃないかと思われる位の勢いで鳴り響く玄関のチャイム。

このままじゃ近所迷惑だから、仕方なく開けた。


ガチャッ
「雄作!!」

開けた途端、俺の彼女の玲奈が声を出して入ってきた。

「…明日、入試なんだけど」

嘘じゃない。
俺は3年だから受験を控えてる。
玲奈は2年だから、カンケーないんだけどな。


「神社行こうよ!雄作!!絵馬とか掛けて、お願いしよっ」

「神社?」


って、言っても勉強少しでも長くしたいしな…。
玲奈は少しデート気分も味わいたいんだろうけど……

「ごめん、行かないわ」


笑顔で返事を待っていた玲奈の顔が、一瞬にして曇った。

「え……」

「言ったろ?明日、入試だから。少しでも多く勉強しときたいんだ」

「でも…少し休憩がてらに……」


なおも言い続ける玲奈に、寝不足でイライラしてたのもあったんだろう、キツく言い放った。

「うるさいな!!帰れよ!勉強するって言ってるだろ?!」

「ゆうさく…?」


玲奈の眉尻を下げた不安そうな顔を見て、しまった、と思った。

傷付けた。


「…そっ、か。そう…だ、よね」



一瞬だけど、俯く前に見えた傷付いた顔。

「やっ、違くてさ…」

「いいよ、別に。忙しいの分かっててきたんだから」


そういって、玲奈は背を向けてドアを開けて出ていった。

ぱたん……



虚しくドアの音のみが響く―――


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