うちの所長知りませんか?

これが本当のラストミステリーだよ

僕は走った。そりゃあもう時間との勝負だと思った。

学校の、上からも下からも中心――

それは、二年校舎二階、占い研の、研究会。

あがった息を整えもせず、僕はそのドアを開いた。

ほんの一時間もない前にあとにしたそこ。

僕と、真美ちゃんしかいなかったそこ。

「いやぁ、ご苦労だね、三ノ宮キリュウ――いいや、占い研の〝女帝〟さん」

彼は――

「な、なんで……」

――いた。

「なんで……!!」

そう、

「生徒会長がここにっ……!?」

生徒の頂点、集会なんかでしか見たことのない茶髪の優等生――視察官である彼が、いた。

「あははっ、愉快だなぁ、君」

と、僕が座っていた椅子でリラックスする彼は、テーブルに出しっぱなしのタロットをもてあそんだ。

「自己紹介してなかったね。僕は本校の生徒会長、そして、推理研究会代表にして所長、大恩寺めもりだ」

ピッ、とそのカードが僕に投げつけられる。

簡単に受け取れるほど水平に投げられたそれは、『女帝』。

今、僕が呼ばれた名だ。
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