Is this a Fiction?

時には、あの店と同系列で自分も掛け持っていたBarに飲みに出掛け近況を聞いたり、残っていた給料を受け取りに行ったりしながら、ささやかな縁すら残っていた。

そんな事すら当たり前になっていた頃には新たな勤務先である業務スーパーも軌道に乗り、チーフから副店長へと変わった自分に違和感を無くしていた。

何げない日常に、聞き覚えのある声、聞き覚えのある呼び名が耳に入ったのはある日の夕刻だった。

スーパーの敷地内に併設していたリカーコーナーにビールを品出ししていた時。

「チーフーッ!」

トモヨの声だった。

振り返るとそこにはママとトモヨが立っていた。

手にはスーパーのレジバッグを抱えて。


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