LAST contract【吸血鬼物語最終章】
鳩羽ちゃんは僕の腕にしがみ付くと、スミレに鋭い視線を送った。
ちょっと‥、スミレを睨み付けたりしないでよ。
僕は彼女の手を一応優しく払った。
「止めてくれないかな?」
「じゃあ、学校出てからならいいですか?」
「‥そういう問題じゃなくて」
君が僕にそんな事してくること自体が、嫌なんだけど。
第一、スミレがいる前でこんな事するなんて‥。
絶対嫌がらせだ。
「‥あ、じゃあボク行くところあるから‥」
スミレは鞄を持つと、スタスタと出入り口目指して歩いて行く。
「菫、気を付けてね」
「うん、バイバイ」
教室を出た時のスミレの横顔は、なんだか
寂しそうな、
悲しそうな、
何とも言えない、切ない顔。
僕は、この顔を知っていた。