LAST contract【吸血鬼物語最終章】
―――‥ドクン
今日は裏門から学校を出るつもり。
桃が買い物をして帰りたいから、それに付き合うんだって。
人通りの少ないというか、誰もいない体育館裏を歩いていた時だった。
―――‥ドクン
ほら、また。
何かが、息づいているような感覚。
僕の、身体が大きく脈打って‥‥
―――‥ドクン
感覚が、どんどん麻痺していく。
体が重い筈なのに、軽い。
僕は今、どうなっているんだろう。
立ち止っているのは分かる。
先輩たちの背中が、だんだんと小さくなっていくから。
右肩が、軽くなった。
それは鞄が落ちたから。
頭では拾おうって思っているのに、身体は動かない。
ミシミシと、音がする。
爪が、神経を集中させてもいないのに、鋭くなる。
八重歯もきっと、同じ様に。
僕の異変に気づいた先輩が振り返った。
そして、目を見開いて‥‥
「‥‥お、お前‥、まさかっ」
―――‥ドクンッ
これを聞いたのが
最後。
全てが、
途切れた。