LAST contract【吸血鬼物語最終章】
だんだんと緩んでいく視界。
浦さんの手首を掴んでいた筈の両手は、いつの間にか、力無くぶらりと下がっていた。
やっぱり、知らない。
こんな浦さんなんて‥。
でもね、頭の何処かではこういう浦さんを知っている。
そんな気がする。
ボク、知らないのかな‥?
本当は、知っているんじゃないの‥?
‥蛇に睨まれた蛙‥。
それは、さっき思ったのが初めてじゃなくて‥‥
『ふふっ、イイ顔しているね‥‥。怖い?』
『ボク、を‥ど‥‥する、の?』
声が上手く出てこない。
蛇に睨まれた蛙って、こんな感じなのかな‥。
『さぁ?‥どうして欲しい?』
そう、貴方と出会った日に、ボクはそう思っていた。
なんだ‥、ボク、知ってるじゃん。
貴方の事を。
一番、ボクを傍に置いて欲しい人。
一番、ボクの傍にいて欲しい人。
「‥ぁ、アオ、ちゃん‥」