LAST contract【吸血鬼物語最終章】

LAST contract -mark 20- 葵目線




『一緒に過ごす中で、たくさんの良い時間を作るって‥約束してくれますか?』

『うん、約束する!!』





スミレと晴れて両想いになった日、そう約束した。
スミレも同じ事を考えていたと言っていたけど、持ちかけたのは僕の方。

「‥何で、分からないの?」

砂浜へ戻っていると、波の音で消えそうな声が僕を責める。

「ボクには何より、アオちゃんが必要だってこと‥」

お前を懐に入れて、強く、強く抱きしめた。

2度もお前に気づかされるとは思わなかった。

お前を愛する事に、



臆病になり過ぎていた事に。



「ゴメン、スミレ‥」

一番怖いのは、お前が僕の前からいなくなる事だったのに。
それなのに僕はお前を遠ざけて‥
その上、死のうとして。

「最低だ、僕は‥」

自分に対して、ドロドロとした黒い感情が湧き上がってくる。

「そんな事言わないで」

僕の背中に回って、優しく擦るその手。
真っ直ぐに僕を見上げてくる瞳。

「ボクなんて、アオちゃんの事を忘れていたんだよ‥?」

だからそう言うなら、ボクの方だって最低。
俯いて、唇を噛み締めながら、スミレは顔をしかめた。
でも、静かに笑って‥



「お互い様、なんだよ」



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