LAST contract【吸血鬼物語最終章】


「‥スミレ」
「何?」

お前に嫌な思いをさせてばかりの僕が
こんな事を、望んでいいのだろうか。
こんな事を、言ってもいいのだろうか。

「僕は、お前の傍にいていいのか?」

僕にそんな資格なんて、もう無いはず。
もちろん、そう望む資格だってきっと無い。

それでもそう望んでしまう、勝手な僕がいる。

スミレはきょとんとした顔で僕を見た。
勝手な事ばっかり言って、調子に乗んな。
って、思ってるよね。

「‥ぅ、っ‥」

そう思っていたのに
お前の目には涙が溜まって、ボロボロとそれは落ちだす。

「っ、‥ぅ、うぅ‥傍に、いて‥くれる、の?」

さっき、やっと泣き止んだと思ったのに、また泣き出して‥。
優しく涙を拭えば、その潤んだ瞳で僕を覗き込んだ。

「も‥、いなく、ならない?」

今はちゃんと言える。

お前の望む事を。
僕の望むままに。



もう、大丈夫だ。



「絶対にいなくなったりしない。ずっと‥傍にいる」

やっとの思いで望んだ答えを聞けたスミレ。
えぐえぐと、泣きじゃくってしまった。



本当、やっとの思いだよ。



互いの事で勝手に傷ついたり。

自分で自分を傷つけたり。



僕たちは沢山、

傷つき過ぎた。


< 97 / 105 >

この作品をシェア

pagetop