LAST contract【吸血鬼物語最終章】
とりあえず着替えようと、僕は部屋に上がろうとして気付く。
スミレ、思ったんだけど‥‥
「お前、服は?」
「ん~、無いね」
「‥‥どうすんの‥」
「どうしよう」
まるで他人事の様な反応に、僕は大きく溜め息。
後の事をちゃんと考えないで行動するんだから‥。
「とりあえず、僕の服貸してあげる」
適当にパーカーと、下は小さくなったジャージをスミレに貸した。
着た様子を見れば、パーカーはダブダブで大きいものの、ジャージは合っているみたい。
ふぅ、とりあえず一安心。
僕も着替えて戻ると、ご飯の準備が出来ていた。
昼食をとりながら、皆との久しぶりの会話を楽しむ。
なんだかんだ言ったって、一緒だと楽しいと、改めて実感した。
父さんと母さんはスミレが気に入ったらしく、いろいろと質問攻め。
時々困った顔で僕を見ては、服の袖を握ってきて助けを求めてきた。
「父さん、母さん。そのくらいにしとけば?」
「いいじゃない、菫ちゃんだってもっとお話ししたいわよね?」
「は、はぁ‥」
僕が出した助け船は、意味無くあっという間に消えた。
スミレはそれでも、父さんと母さんの相手をちゃんとしてくれていた。
「‥ゴメン」
「ううん、だいじょーぶ」
美味しい昼御飯を堪能した後、もう一度皆で海に行くことにした。