crycry
開幕


 ひゅううと冷たい風が吹き抜けていく。

 ぎしりと軋む古びた床板。

部屋には申し訳程度のロウソクの灯りがぼんやりと瞬いていた。

 ちまたでウワサの“吸血鬼が封印された教会”にわたしがこうして足を踏み入れているのにも理由があり、何も好き好んで訪れたわけではない。



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