いとしいひと

直志side



「わ、痛えっ」


考え事をしていたからか、剃刀で手を切ってしまった。


「何やってんのオマエ。珍しいな。何ボーっとしてんだ?」


「いや、そんなんじゃ…」


「朱里姫か?」


姫!?


「なんだよそれ…
ニヤニヤすんな雅敏」


「いいじゃん。
実際お前の姫だろ?

最近の直志おもしろすぎ〜」


「はぁ!?」


何だコイツ。

かなり余裕ぶっこいてる。


「ほっとけ!」


「ふーん…?
ま、いいけど。
あ。朋美からメールだ♪」


朋美ぃ?

いつの間に呼び捨てになってんだ?


あーもう無視無視!!


集中しろ!俺!!


「なぁ直志、
最近朱里ちゃんとは逢ってねーの??」


ガシャン


今度はハサミを落としてしまった。


「図星か?
なんか…朋美が心配してんぞ?
ここ最近の朱里ちゃんの様子もおかしいって」


え……


朱里ちゃんの……?







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