群青の月 〜『Azurite』take00〜





俺はあのまま
卒業と同時に、横濱の倉庫に就職

ベースは
最近全く弾かない






―― 正直

このベースを見ているのは辛かった

だからと言って
……捨てる勇気も無くて

ただ、部屋の隅で
白い埃を被って行くだけだ





ソファーに横になり
テレビをなんとなく見ていた
白っぽい青空の、日曜の午後


テーブルの上にはカップ麺の食いかけ



チャンネルを変えていると
携帯が鳴った




一度、何故か
組んだ事のあるバンド


ベースが突然抜け
今から助っ人が欲しいと言う





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