群青の月 〜『Azurite』take00〜





朝起きて、二人共
ホットプレートが無い事に気が付いた



「 …どうしようか
ちゃんと冷蔵庫に、食材はあるけど 」


屈んで中を覗き込んでいると
カッパが、
俺の脇の下から顔を出し、笑った



「 おれ、つくる 」



いきなりそう言い
アジの開きのパックと、大根と味噌
キュウリを取って、
入口横の小さなキッチンに立った




ソファーに反り返り
しばらく見ていると
横の食器棚から皿を出して
結構手際よく、調理をしている


煙草を出して、吸っていると
入口の外に、七輪が見えた





カッパの肩を、トトン、と叩き

包丁を持ったまま、ん?と横を向く上から
アジのパックを、ヒョイと取る




部屋の外

壁と窓を隔てたキッチンの前に
青いホースのついた蛇口があり
それで、七輪に乗っていた網を洗った



横に炭の箱
七輪の中にいくつか組んで入れ

辺りを見回すと
新聞紙の束があったので一枚抜き

テーブル上の
ジッポのライターとオイルを持ち出して
新聞紙を捻り、
油をかけ、七輪の中に入れた




火が炭にまわっているか
日蔭を作らないと確認出来ない位
空が晴れている


パックからバリバリとアジを出し
網の上に、しばらく乗せていると
香ばしい匂いと一緒に
煙りがモクモクとあがってきた




そして、カッパも出て来た







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