群青の月 〜『Azurite』take00〜
ビル風が静かな夜
日曜日
屋上のコンクリートの上に
ビニール袋をひいて
その上にベースを拡げた
あずる は、しゃがみ
俺は反対側に、腰に手を充てて立つ
「 ……これ、治る…? 」
「 本体との
はめ込み式じゃないから無理だね
買い換えた方が、早いな 」
「 ……ごめ… 」
言うより早く、
俺は あずるの襟を持ち上げ立たせた
そして
そのまま、
肩車をした
「 高いーーー!!! 」
「 暴れるなよ 3mあるんだから 」
…お父さん卒業するはずだったけど
まあいいか
――あずるは、
肩車が初めてだったらしく
夜の果てを、ジっと見つめている
夜中になり、真木から電話
何故か御礼を言われて
『 もしかしたら俺
イベンター辞めるかも
やっぱり弾いてる方が楽しいわ 』と
少し酔いながら、話していた
――― しかし携帯は、
非通知着歴で埋まり
その頻度は半日に一回から
1時間に一回に、増えていた