群青の月 〜『Azurite』take00〜





ビル風が静かな夜

日曜日


屋上のコンクリートの上に
ビニール袋をひいて
その上にベースを拡げた


あずる は、しゃがみ
俺は反対側に、腰に手を充てて立つ




「 ……これ、治る…? 」




「 本体との
はめ込み式じゃないから無理だね
買い換えた方が、早いな 」




「 ……ごめ… 」

言うより早く、
俺は あずるの襟を持ち上げ立たせた



そして

そのまま、






肩車をした





「 高いーーー!!! 」




「 暴れるなよ  3mあるんだから 」




…お父さん卒業するはずだったけど
まあいいか



――あずるは、
肩車が初めてだったらしく
夜の果てを、ジっと見つめている






夜中になり、真木から電話


何故か御礼を言われて


『 もしかしたら俺
イベンター辞めるかも
やっぱり弾いてる方が楽しいわ 』と

少し酔いながら、話していた







――― しかし携帯は、
非通知着歴で埋まり

その頻度は半日に一回から
1時間に一回に、増えていた








< 78 / 262 >

この作品をシェア

pagetop