切望と絶望の扉

 昨夜の晩餐の部屋にきた。今日はテーブルと椅子二脚が置かれていた。その内、一脚に一人の刑務官らしき人物が椅子に座っていた。

「掛けなさい…。」

 刑務官がそう言うと、俺は屈強な男二人がかりで向かいの椅子に掛けさせられた。肩や腕に微妙に痛みが奔っていた。もう少し加減をしろと言いたくなるぐらいだった。

 刑務官はちらちら俺を見回すと、ごくりと唾を飲むとおごそかに言い放った。

「落ち着いて聞いてくれたまえ。戸田将平、本日刑を執行する。」

   今…。なにを?

 執行だと?しかも、これからなのか?俺の考えとは違う。こんなことが。しかも、もう直に…。
 
 笑ってしまう程、急だな。俺の…俺の余命は本当にいくばくもなくなってしまったのか。冷や汗が額や脇に滲み出た気がした。

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