金平糖

シャワー

恐る恐るスパゲティをほおばる二人を呼んでみる。
「ケン、マサ、お母さんはどうした?」聞いたとたんに
ケンが泣きそうになり慌てて
テレビの話に変えて何とかごまかした。
(コイツは確か泣き出したら30分は泣き止まない弟だった。)

先に食べ終わり考えを巡らした。
カレンダーを見ると確かに2006年8月だ。
(つまりオレは、現在で弟達は、過去に戻ったということだろうか?)
ケチャップだらけの顔を見て、シャワーするように二人に言った。

するとケチャップで大きく見える口で
「脱がせてー。」と言われる。
「何でオレがこんなことしなきゃならんのだぁ」などひとりごとを言っても
「ジャーしてよ。」「石鹸とって。」と次々言われてしまう。
面倒だからとさっさとドアを閉めてしまい、
テレビを観ていると二人のにぎやかな笑い声が聞こえてきた。

なんだか損した気がして自分も風呂場のドアを開けて入って行くと
まずマサのシャワー攻撃がきた。ケンは泡だらけになって遊んでいた。
頭からシャワーをかけるとなんだかさっきより二人とも大きくなった気がする。

「久しぶりだね。三人ではいるの。」と言うと
「昨日も入ったじゃん」と、はっきりとした言葉が返ってきた。
「そんなはずないよな。オレ昨日は、バイトしてたもん。」
とつぶやいいても笑い声で聞こえないみたいだ。

頬っぺたが膨らんでいるなぁ。
「何食べてんだ?」と聞くと二人そろって
「金平糖だよ。」と口を開けて見せてくれた。
シャンプーをしてさっぱりして顔をあげると
なんだか二人が大きくなっている気がする。
でも相変わらず、泡だらけになって遊んでいる。
 
シャワー遊びも飽きてきて部屋に戻ると弟達も濡れたまま上がってきた。
仕方なくタオルで拭いてやる時またこんぺい糖を口に入れた。
すると拭いているタオルの中でケンが大きくなった!
 
「この金平糖食べるとなんだか大人の気分になるんだよ。」と
またまた口調もしっかりしてきた。
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