傷付け合うわたしたち
「有香ちゃんって、一人が好きなの?」
そう聞ければよかった。
もし有香ちゃんが言葉に詰まったら、
「どんな風に聞いたら、返事しやすい?」
そうやって、聞けたらよかった。
筆箱を拾って目が合ったあの時のように、そっと笑ってくれてたかも知れない。
「笑って?」
そう言って笑い合えたら、何か変わったのかも知れない。
そんな一言さえ、かけなかったわたし。
かける必要ないと思ってたあの頃。
クラスメイトの笑顔より、可愛いシールに夢中だった。
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