傷付け合うわたしたち
 

そしてそのまま、さっちゃんから電話がくることはなかった。


そしてしばらくたったある日、さっちゃんは学校に来た。


夏休み前から学校に来なくなったさっちゃんは、「このまま休み続けると卒業出来なくなる」と先生に言われたらしい。


学校に来たさっちゃんは、わたしを無視した。


近寄って話しかけると睨まれた。


わたしだけでなく、Bさん達のことも、今まで仲の良かった友達みんなを無視して、睨んでいた。


さっちゃんはまったく接触のなかった女の子達に一生懸命話しかけ、仲良くなろうとしていた。


「なに?あいつ……ハナちゃん、いいの?」


Bさんがわたしの側に来て声をかけてきた。


「いいよ。学校に来てくれて、よかったよ」


わたしはそう言って、女の子達と話すさっちゃんを見た。


さっちゃんは笑っていた。


その笑顔がわたしに向けられていたものだったら、どんなに嬉しかっただろう。


大切な友達を失った瞬間を噛みしめた。


一緒にいることが辛くなる。


こんな日がくるとは思わなかった。


でも、さっちゃんは笑っている。


さっちゃんは今、楽しんでる。


だから、さっちゃんにとっては、きっとよかったんだ。


わたしも、今を楽しもう。


わたしにとって「これでよかった」と思える日々を過ごすため、わたしも笑おう……。






 









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