恋の病で死ぬオトコ
奇病
朝食は昨夜のカレーの残りだった。

これで七日連続でカレーだ。

俺はインド人か?

起きて間もないアサトの口から大きなあくびが出た。



「あんた好きな子いるの?」

朝食の準備が終わり先にダイニングテーブルの椅子へ

腰をかけていた母親がコーヒーをすすりながら言う。


もう一つあくびが出た。

「は?」

朝っぱらから何だよ・・・

アサトは眠気眼の顔で愛想なく返した。

いたとしたって言うわけがない。

この人はそんなプライベートな事を

息子の俺が答えてくれるとでも思っていたのであろうか?

赤裸々に?17歳の俺が?

カレーのニンジンをスプーンで潰しながら俺は苦笑した。


母親の和美とは親子関係が出来ていない訳ではない。

母子家庭とはいえ、不自由な事は何も無かった。

援助は国から出ていたし

何より母親の両親が健在であったから金銭面で困っても何かと助けてくれた。

だから、周りがイメージする母子家庭とは少し違うのかもしれない。

誕生日もクリスマスもちゃんとあったし。

夏休みには海外旅行も行っていた。

ヘタな中流階級の家と比べたら

うちはより裕福だったかもしれない。

そのくらいに思えたのだ。


七日連続のカレーだって別に

貧乏で、節約で、残り物を使いたいがために、、、

という訳ではない。

単純に新たに料理を作るのが面倒くさいだけなのだ、和美が。

作りやすいのだカレーが。

だからうちがどんなにセレブになっても

365ある日々の中で朝食の70%以上はカレーであることは

まず変わらない。

アサトはそう思っていた。
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