【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
闇を切り裂いて辺りに光が溢れる。

意識が少しずつ光に引き寄せられていく。

色の洪水に翻弄されるような感覚が俺を襲い一瞬めまいを起こしたような錯覚に包まれたかと思うと徐々に覚醒するように意識がハッキリしていくのが分かった。

ゆっくりと目を覚ますと見慣れた部屋の天井が飛び込んできた。

熱に犯された身体は思うように動かすことが出来ず、すぐには身動きが取れなかったが、腕に絡みつくように広がる髪が視界に入った時、動けないのは熱だけが原因では無いことに気付いた。

俺の胸に聖良が頭を乗せるようにして眠っている。

何故聖良が俺と一緒に寝ているのかと不思議に思い、声をかけようとして息を飲んだ。

聖良は真っ白な裸体で両手をいっぱいに広げて俺を抱きしめて眠っていた。


夢の中で俺を心ごと抱きしめて悪夢から救い出してくれたぬくもりを思い出す。


あれは…聖良だったんだ。


柔らかな髪に触れ白い肌を抱きしめぬくもりを感じる。


あの暗く冷たい悪夢からさえも俺を引き上げ救ってくれる聖良。


おまえの存在がどんなに俺を癒してくれているかおまえは分かっているんだろうか。


今の俺はおまえを失う事が何よりも怖い。


聖良…おまえがいなかったら俺は生きていく意味すら失ってしまうんだ。




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