【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
「聖さんは『本当に我慢できて使わなかったらそのときは受け取ってやる』って言ったじゃないですか。」

「あぁ?そんな事言ったっけ?覚えてねぇなあ。」

あくまでも受け取らないつもりらしい。

「お年玉なんて貰う理由は無いですよ。俺は預かりますって言ったんです。使わなかったんですから返します。」

「ほお~~。お兄様の好意を受け取れない訳だこの弟は。」

じろりと睨む聖さんに一瞬言葉を失ってしまった。


―― この弟は…


聖さんは皮肉ではなく愛情を込めてそう言った。それがわかったから俺には何も言えなくなってしまったんだ。

「いいか、龍也。俺はおまえの兄貴なんだ。俺がおまえを弟だって認めた時からな。おまえがどう思っていても構わんが俺は兄貴としてに弟にしてやりたい事があるんだよ。」

「聖さん…。」

「干渉するつもりはねぇよ。でもおまえには俺っていう相談できる兄貴がいる事を忘れんな。いいな。」

聖さんは余り身長の変わらない俺の頭をくしゃっとかき回すように撫でた。


とても温かい父親のような手で…。


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