【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
龍也先輩遅いな…。先生に呼び出されたようだけど何を話しているんだろう。
もしかして…進路の事だろうか。

龍也先輩は夏休み前から頻繁に進路指導室へ呼び出しを受けている。

全国模試で不動の1位という秀才を何とか日本でも随一といわれる大学へ進学させたいと学校側は真剣に説得しているようだけど、当の龍也先輩は県外への進学なんて微塵にも考えていない。

あたしだって龍也先輩が遠くの大学へ行ってしまうのは寂しいけれど、あたしの為に先輩の無限の可能性を閉ざしてしまうのはイヤだ。

彼には彼の進むべき道があって、あたしは彼を支えてあげたい。

決して障害にだけはなりたくないのに…。

はあっ、と大きな溜息をひとつ吐いて、気持ちを切り替えようと再び机の上の紙切れの山と対峙することにした。

電卓に表示された数字を見て溜息をもうひとつ。まったく…こんなところまで去年と同じでなくても良いと思うんだけど?

3回計算して3回とも違う数字が出てくるってどういうことよ?

……やっぱりこの電卓壊れているんじゃないの?もしくはあたしととんでもなく相性が悪いとか?


「だ~~~!もういや。なんであたしがこんなことしなくちゃいけないのよ。」

「そりゃ生徒会会計だからだろう?」

生徒会室のドアを開ける音と同時に笑いを含んだ大好きな声に振り返ると、長身に綺麗な笑みを浮かべている龍也先輩が立っていた。

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