【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
普段この優しい笑みを見られるのはあたしだけ。

親友の暁先輩や響先輩でもこんなに優しい龍也先輩は見たことがないと言われた時は驚いたけれど凄く嬉しかった。

今が夏休みで人が少なくここが生徒会室で二人きりだからこそ、こうして微笑んでくれるけれど普段の彼は鉄壁のポーカーフェイスで滅多な事で人前で笑ったりしない。

龍也先輩の笑顔の写真が学内オークションで数万円の高値をつけたのは有名な話だし、クールビューティといわれる彼の珍しく柔らかな表情の写真は常に写真部ではスクープ扱いとなっているくらいだ。

こんなに綺麗な笑顔を誰にも見せず、いつも無愛想でいるのは勿体無いけれど、あたしにだけ心を許してくれているのだと思うととても嬉しくて、この笑顔が何よりの宝物だと思う。
「どうしたんだ?また電卓に遊ばれていたのか?」

「遊ばれてたって…もぉ、意地悪な言い方しないで下さい。」

ぷうっと頬を膨らませて見上げると、いつの間にか鼻が触れそうな距離まで近寄っていた龍也先輩にドキンと鼓動が跳ね上がった。

ホントいつまで経ってもこの綺麗な顔に至近距離で覗き込まれるのは心臓に悪いわ。


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