【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
番外編 アッシュの独り言
オレはアッシュ。年の頃はまあ人間でいうところの1歳だ。

真っ黒の艶やかな毛並みにしなやかな身体。ブルーの瞳はちょっとした宝石よりも綺麗なのでは無いかと思う。血統書つきではないもののたぶん親はかなりのいい血筋だと自分では思っている。

まあ、親がどんなヤツだったかなんてわかりゃしない。

オレはあの日、佐々木龍也って無愛想なヤツに拾われてしまったんだから。


思い起こせばヤツに拾われた事がオレの人生の最大の悲劇だったんだ。

まだ乳飲み子だったオレをダンボールに入れて100円ショップででも売っているような壊れそうなビニール傘を立てかけただけで、雨の中に置き去りにして行きやがった血も涙も無いような人間に比べたらずっとましなんだろうケド…


でもなぁ…


何が哀しくて龍也はこんなに無愛想なんだろう。

ミルクも飲めずに衰弱していくオレを獣医へ連れて行き、4時間おきにミルクを飲ませて育ててくれた事には感謝している。
こういう所は、なかなかマメでいいやつなんだ。

ただ、鉄仮面みたいな表情の変わらない顔で「おら、口開けろよ。ミルクだぞ。」…なんて表情の無い顔と声で冷たく言われてミルクの吸い口を突っ込まれても、愛情を貰っているというよりも、水攻めならぬミルク攻めにでもあっているような気分だぜ?

幼いオレは健気にもそんな無愛想な龍也を親と思い一応懐いて遊んで欲しがったりしたわけだ。

すると意外にも、つまらなさそうではあるがかまってくれたりするんだ。

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