【長編】Sweet Dentist
【第11章】12月5日(月曜日)
腕時計をチラッと見て、アクセルを踏み込む。

唸るように低音を響かせて高速を飛ばす車。

スピードメーターは既に、捕まれば一発免停の域に突入している。

それでもスピードを緩める事無く、むしろ加速しながら、捕まらないことを祈り、前を行く車を片っ端から抜き去っていく。

大会の開会式まで、あと1時間余り。

最初にお偉いさんの挨拶や説明があるというから、実際に選手達が創作に掛かるのはそれから30分後ぐらいだろう。

どんな行事でも偉いおっさん達の前置きがやたら長いのは世の常だが
今日ばかりはその前座が長ければ長いほうが俺にとっては都合がいい。

この調子で飛ばせば、おっさん達の前座が終わる頃には何とか到着できるだろう。


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