初恋~俺が幸せにしてみせる~
VIPを迎える時の
病院ときたら、何だか
みんながソワソワして
情けないくらいに
普通勤務の中でも
浮き足立っている奴ら
ばかりに見えてくる

いつもの診察室ではない会議室に通す手はずの
VIPの為に、朝から
普通の診察を俺は
休みという事になる

時間までに、検査の
結果やレントゲンの結果
その他の色々な結果に
目を通す事になる

最初に知っていたはずの結果なのだが、ここまで進行しているとは
思わなかった

すでにステージⅣの段階

色んな部位に転移して
手術は出来ない状態

残酷な状態だった

そんな結果を俺は
ちゃんと告げる事が
出来るんだろうか

そして、最後を看取ってやれるのだろうかと
不安ばかりがよぎる

若いから進行が早くて
忙しくて疲れていると
思い込んで、病院に
足を運ばなかった
結果であろうステージⅣ

俺も他人事とは
言ってられない

30過ぎて、俺だって
同じような運命を
辿る可能性だってある

ガンの部位についての
説明する資料と、今後の治療を説明する資料を
準備していた

後はVIPが来るのを
待つだけだった

後は俺の言葉次第で
何とかするしかなかった
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