初恋~俺が幸せにしてみせる~
『先生に言われた事が
ずっと気になっていた』

『私が言った事?』

『ええ。大切な人に
言わないのかって話を
先生に言われた事です』

俺も一番気になっていた事だったかもしれない

『先生にそれを言われてどう答えていいのか
自分自身でもよく
わからなかったんです』

『北川さん。もしも
私が同じ立場だったら
きちんと話しますよ。
そしてちゃんと2人の
最後の時間を作ります』

北川さんはコーヒーを
一口飲んで、タバコを
吸って煙を吐き出した

『俺は逃げていた。
彼女を今までもずっと
傷付けてきて、また
傷付けてしまうという
罪悪感から、逃げて
しまおうとしていた。
でも、それじゃダメだと何となく思えてきて
それでも怖いんです』

『怖いとしても、今は
あなたと大切な人が
同じ運命を受け入れる
だけなんだと思います』

北川さんは俺の顔を
ジッと見つめていて
話の続きを待っていた

そして俺は続けた

『北川さんは自分への
罰だと言いましたよね?それほど罪悪感に
苛まれているのなら
なおさらですよ。きっと彼女は待っているはず。1人残される彼女の
気持ちも考えてみても
いいんじゃないですか』

北川さんは黙っていた
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