初恋~俺が幸せにしてみせる~
『すみません。こんな
偉そうに話していい
立場ではないですよね』

つい必死になっていた

千穂の顔を思い浮かべて必死になって話していた

『先生は結婚されて
いるのですか?』

『いえ。情けないけど
まだ独身ですよ』

『こんなにいい男なのにもったいないですね』

『そんな事ないですよ』

『先生に会えて、今日は本当に良かったです。
考えが変わりました』

『それは良かった』

『私という男が最後に
やらなければならない
事がわかった気が
してきました。自分の
事だけを考えていては
ダメなんですよね』

『俺は何も言える立場
ではないんですけど
あくまでも、1人の
男としての意見です』

『先生の彼女はきっと
幸せになれますね。
私が女だったら、絶対
惚れてしまいます』

北川さんは素敵な
笑顔を見せていた

それでも最後まで
ちゃんと話すとは
言ってはくれなかった

やっぱり俺の口から
話してしまった方が
いいのかもしれない

『それでは失礼します』

北川さんは立ち上がり
千円札をテーブルに
差し出していた

『結構ですよ』

『いいえ。これは
少しばかりのお礼です。今日は会えて良かった』

北川さんはそう言って
背中を向けて立ち去った

俺はその背中を見つめ
立ち尽くす事しか
出来なくなっていた
< 253 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop