初恋~俺が幸せにしてみせる~
俺は、時間があれば
千穂と会うようにして
千穂の傍に居た

ドライブに出かけたり
ショッピングや食事に
出かけるようにしていた

支えてやりたいという
気持ちと、千穂が
北川さんを追いかけたりするような真似を
させない為だった

千穂は思い出したかの
ように泣く事があった

その時は千穂の気が
済むまで泣かせていた

1人で泣くよりは
こんな俺でも、傍に
居た方がいいんじゃ
ないかと思えたから

涙を流す千穂の隣で
千穂の手を握りながら
千穂の辛さを少しでも
和らげようと思った

千穂は北川さんの様子を聞こうとしなかったし
俺も話そうとしなかった

どんどん食欲がなくなり痩せていっている
北川さんは、もう
それほど長くはない

俺にはそれがわかってた

時々痛みを訴えて
苦痛に顔を歪ませる

そんな状況を千穂に
話したくなかった

そしてきっと北川さんも千穂にはそんな事は
話してほしいとは
思わないだろう

毎日奥さんと子供が
病室に来ていた

奥さんは泣き顔を見せず笑顔で北川さんに
接しているようだった

何も知らない子供の
その笑顔に胸が痛んだ
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