女子高生はオオカミ男。
「まず、第一に……」

いつになく真剣な狼にごくりとつばを飲む。

「俺、理事長の孫なんだよ」

…………はい?

「えーと、ね。今、なんと仰ったのかよくわかんなかったんですけど……」

はーっと狼がわざとらしく溜息をつく。くそぅ、ばかにしやがって。

「お前、ほんとに何にも知らないんだな」

高校入学ですから。

当たり前じゃん。

「うわっなんかすげぇ落ち込むわー」

……自意識過剰のナルシストめ。

「ここら辺じゃ俺、超有名なのに」

へえへえへえ、そりゃよろしゅうございましたこと。

「でさ、そんなことはどうでも良くて」

お前の有名度なんてはなから興味ないわ。

「良くねえよ」

そうですか。

「理事長の息子ってほんと?」

「孫だよ」

あんまり違いはないし。

「ジジイの名字思い出してみ」

「久遠……だっけ」

さっき西城さんがこいつに言ってたのも…………

「う、そ……」

「まあこれで大体の謎は解けたろ」

男子禁制の女子部に入れたのも理事長の差し金。自由に退学させられるのも理事長の権限。

うわー超ムカつく。

しかも制服も理事長経由か!!

なんつーこと……!

一人、胃のむかむかと戦っている私をおいて質疑応答は続いていく。

「それから」

それから?

「あの二人の資料はな」

はい。

「知らねぇ」



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