鬼 鴉【総集編】
「……身体を重ねる事だけが、愛情表現とは思わないが……」
肩越しに皐月へと視線を送り、銃佐ェ門は問い掛ける。
「異性も知らずに終わる人生など、つまらないだろう……?」
銃佐ェ門の言葉は単なる人生論であるのかもしれないが、妙に説得力があった。
「……」
皐月は無言のままナニも答えられず、銃佐ェ門と視線を合わせる。
「お前らは、若いんだ。いろんな事を学び、経験するんだな?」
銃佐ェ門はそう呟くと、宿に背を向け歩き出す。
皐月は一度だけ宿の2階を見上げると、すぐに向きを変えて、銃佐ェ門を追い掛けるのだった。