鬼 鴉【総集編】
「やれやれ……、美女2人に並ばれると声を掛け難い事、この上ない」
渡り廊下の奥から、遠慮がちな口ぶりで紅拳が姿を現わす。
「おやぁ?コウケン殿、アンタもまんざらでは無い美貌だと思うけど、ネェ?」
ジェノスはチラリと視線を送りながら、紅拳を褒めるように笑顔で口を開く。
ロインや、ジェノスが、人が創造せし芸術品のような美しさだとすれば、紅拳には自然が造り上げた神秘的な美がある、といっても過言では無い。
「……どうかしました?紅拳殿」
無言の紅拳に、ロインは疑問の声を掛ける。
「……」
紅拳は曖昧な微笑みを浮かべたまま、沈黙を守っていた。
「そういえば、日本の地を踏んだのはアンタだけだったね?クロオニ殿を倒した戦士と闘り合ったのも……、どうだったんだい?」
ジェノスは思いだしたかのように、好奇心と興味の視線を絡めて、紅拳に尋ねる。
「そうでした、ね……」
ロインもジェノスの言葉に相槌を打つと、紅拳を見つめていた。