鬼 鴉【総集編】



暗い部屋の中に、桃華の姿がある。



見慣れない寝具に寝かされ、目覚めれば暗闇。

扉らしきモノはあるが、施錠されているらしく、びくともしなかった。



「……やれやれ」


太刀も取り上げられ、その身一つの割にしては、桃華は慌てていない。



(鬼面の男に、腹部への当て身を喰らい気を失ったまでは覚えてい……、イヤ、あの男は……)


桃華は確信にも近い感情で、記憶を探っていた。


『ギィ』



不意に、施錠の架かった扉が音を立てて開く。



「……兄上」



扉から入ってきた人物、鬼人を見て、桃華は呟いていた。


いくら数年経とうとも、感じるモノは、何も変わらない。


兄妹の、血の絆の、感覚であった。


< 241 / 1,582 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop