鬼 鴉【総集編】
ジェノスは湾岸に浮かぶ二隻の小船に、近付いていく。
「お嬢……」
一人の男が、ジェノスに声を掛けた。
齢は四十程、頭に巻いた布からは茶色と白髪が混ざった髪が出ている。
薄手のシャツに膝丈程のズボン、左の腰には片刃の剣カットラス、右の腰には鞭がぶら下がっていた。
典型的な、海賊の格好である。
「ヴォルト……、やはり予想通りだ」
ジェノスは男の名を呼びながら語りかけ、小船に乗り込む。
「……左様ですかい?」
ヴォルトは、他の海賊仲間に小船に乗るように指示しながら、ジェノスに答えた。
この姿から分かるよう、ヴォルトは、ジェノスの片腕的存在だといえる。
「この湾岸、前に来た時よりも整地されている。これなら、多少の船も入って来れるだろう」
「……鬼鴉のヤツら、海にまで手を出すって事ですかい?」
ジェノスの状況説明に対して、ヴォルトは問い直すように尋ねていた。