ファミリーコンプレックス

さいしょ。



とがみさんは、
がんばり屋さんだもんね。

とがみさんは、
やさしくていい子ですね。

とがみさんは、
おりこうさんだね。





「戸上さん、2人だけでお話があるんだけど、いいかな?」

先生に呼ばれた。
わたしは、人見知りが激しくて大人しい子でした。
クラスに馴染もうと思って頑張っても馴染めなくて、小学4年生の頃まで、友人と呼べる"仲が良い子"は誰一人いませんでした。

それが、わたしの当たり前。

淋しくなかったわけじゃないけど、「グループを作って何か協同作業をする時」以外は、独りを楽しんでさえいました。独りを好むように自ら自然に、無意識にしていたのかもしれません。



絵を描くのが好きでした。

だからわたしは、
救われていたのだと今は思います。
 
< 2 / 9 >

この作品をシェア

pagetop