残された『0』【短編】
男は家に帰ってから考えることにした。
いつものように帰りの車を走らせる。
いつもと違うのはメガネだけ。
男は気がついた。
鏡に自分をうつせば何を表しているかわかるかもしれないと。
ふとバックミラーを見た。
男の頭の上の数字は
0。
なぜだろう。
気づいたときにはもう遅かった。
男の車は電柱へとぶつかり
車はぺしゃんこ。
男は即死だった。
男の死体にメガネらしきものなどなかった。
残されたのは
男によって最後に書かれたと思われる
『0』という数字だけ。