討竜の剣
ひたすらに休火山を登る事数時間。

いよいよ山頂が見えてきた。

呼吸を整えつつ、ゆっくりと登頂。

「…ここが…山頂…」

額の汗を拭いながら、ナハトが呟いた。

白煙吹き上げる休火山の頂上。

本当に休火山なのかと疑いたくなるような白煙の量だ。

俺は周囲を警戒しつつ、目を凝らす。

見渡す限りの岩場、そして白煙。

何か生物が蠢くような気配はない。

生命の存在できない、死の山。

たとえ竜種とて、こんな場所では生息できないのではないだろうか。

もしかしたら情報はガセだったのかもしれない。

そんな疑いを持ち始めた時だった。

「……!」

何者かに見られている感覚。

俺は咄嗟に振り向き。

「な…!」

白煙の中に浮かび上がる巨大な影に驚愕した。

岩場の隙間。

その中から長く白い顎鬚をもつ、巨大な竜が鎌首をもたげていたのだ。




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