討竜の剣
刃竜の意識が、ナハト一人に集中する。

彼女は無表情のまま、今まで聞いた事もないほど大きな声で叫んだ。

「竜滅砲!」

同時に、俺の目の前の地面がせり出した。

そこから姿を現したのは、巨大な人型。

土人形ゴーレムだった。

ドーラの民が唯一行使できるという土の魔法。

それがこのゴーレム。

この巨体を持つゴーレムならば、少しは刃竜にも対抗できるかもしれない。

そう思っていた俺は、ゴーレムの持つ巨大な鉄の箱に気づいた。

5メートル四方の鉄の箱。

その箱を開いたゴーレムは、何かを担ぎ出す。

…それは、人間から見れば大砲とも言える、巨大な重火器だった。

ナハトが呟く。

「私にとって…ゴーレムは『荷物運び』…地中を、あの鉄の箱を持って付き従うだけの従者に過ぎない…」

そしてゴーレムが構えるあの巨大な重火器こそが、ナハトの真の武器だった。

「竜滅砲…発射…!」


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