Melty Kiss 恋に溺れて
大雅の瞳に困った色が宿る。

そうよね、コレじゃ私。
たちの悪い小姑じゃないっ。

「違うの、あの、その」

逃げようとするのに、私の手首を握る大雅の力はべらぼうに強い。

「今でも私は忙しくて、都さんを十分に構ってあげれていないのですが」

「知ってるわよ。
だけど。
もっと逢いづらくなるっていうか。
仮にも、ほら。奥さんになるわけだし」

その。
ごにょごにょ、と。

私は口篭る他ない。

「都さんが遠慮する必要はないのですよ?
ずっとここに住んでいればいいじゃないですか。
私は妻と暮らす気はありません」

大雅は迷いの無い瞳で、おかしなことをきっぱりと言う。
銀組の次期総長たるもの、その物差しは常人のそれとはまるで違うのだ。

「そ、そういうわけにはいかないわよっ。
結婚するんでしょう?」

「困りましたねぇ」

と。
本当に困った顔で大雅が私を見るから、私の心臓は緊張のあまり止まりそうになる。
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