世界から

「これで、良かったんですか?」
シオンはロゼに言った
「さあな、私には分からん」
「この男を殺しても、死んだ人たちは帰ってきませんよ」
「そうだな、だが・・・生かしておいても奴らは生き返りはしない」

「あなたは、それで満足なのですか?」
「・・・さあな」
「これから、どうするんですか?」
「さて、どうしようかな」

「ふざけているんですか?」
シオンが少し怒ったように言った。ロゼは遠くを見るような目をしていた


「なあ・・・しばらく、しばらく一人にしておいてくれないか?」
こんなに優しい声でロゼが話すとは思えないくらい、本当に優しい声だった

「ちょっと、休みたいんだ・・・ここのところ、ろくに寝ても居ないんだ・・・」
ロゼは二人に背を向けた。
「シオン・・・」
何かを感じ取ったリドルは、シオンを促す
「・・・分かった、外に出よう」



「なあ、リク」
シオンは呼び名をリクに戻した
「ん」
「これで解決したのか?」
「多分・・・ね」

「本当に、こんなんでいいのか?」
「何が?」
「確かにあの男が黒幕で、世界に歪みを生むほどやばい思想の持ち主だってのは分かったさ・・・けど」

「・・・けど?」
「こんな虚しくて、あっけなくて、悲しい終わり方って・・・」
「でもね、それでもこの話はこれで終わったんだ」


「終わったんだよ・・・シオン」
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