世界から
異端者の中の、異端
音楽家の国に来た日の夜、シオンとリクは宿をとって休んでいた
「便利だな、お前のその本」
シオンはリクの通学鞄の中に入っている“本”を見て言った
「いやー、持ち歩くのも結構面倒なんだけどね」
リクは鞄から再び本を取り出して、ページを開く
「言ってみればあれだな、二次元ポケット」
「む、何だかそれって出来損ないみたいな言い方だなぁ」
リクは本から衣服を“呼び出した”
「服まで用意してたのか」
「いやいや、用意っていうか・・・さっき描いてた」
シオンが本を指差して
「それに?」
と言うとリクは頷いて、
「これに」
と答えた
「言ったでしょ、これは絵に描いたものを具現化するための媒体で、ただの収納道具じゃないって」
「・・・言ったか?」
「言った」