no fate
scar
いつか腕に突き立てた
脆く薄い刃は
まるで玩具のように
チープなプラスチックに収まって
あらゆる文具と共に
引き出しの中

抗えない衝動
どうしても
どうしても
この手で切り付けて
心と同じにしたかった

不自然でしょ?
何処にも傷がないのに
こんなにも痛いだなんて

気が付かないでしょ?
傷一つない私が
こんなにも
痛みを感じているだなんて

助けてと叫ぶ事にすら
臆する私には
服に隠れた傷が
何故か心強かった

いつか腕に突き立てた
脆く薄い刃は
まるで玩具のように
チープなプラスチックに収まって
あらゆる文具と共に
引き出しの中

幼い自分が
今よりも強い事を知った
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