クライシス

妨害

-11月8日15:40-

兵庫県姫路市・・・


「疲れた~・・・」


事件発生から五日後、捜査一課の新米刑事の井上は兵庫県の姫路市内に居た。


「井上くん、ちょい休憩しよや」


コンビを組む事に成った豊中署の主任の江川が井上に声を掛けた。


特捜本部が立つと、一課の人間と所轄の人間がコンビを組み捜査活動を行なう。


江川は40代の中年太りをした人の良さそうな刑事であった。


事件の進展は無かった。


井上と江川は射殺された山川の身辺捜査を任されていた。


携帯電話のアドレスに載っている一人一人に連絡、または訪問して山川の人となりを確認していく。


アドレスには200件ほど名前が入っていた。


面倒くさい作業ではある。


分かった事は、山川は最近全くアドレスに載っている人物達とは接触していなかった。


中には山川の存在自体を忘れている人もいた。


山川は影が薄い人間だったらしい。


喫茶店に入り、注文を終えると井上は江川に言った。


「しかし山川は一体何者なんですかねえ?」


「うん、せやな・・・マルボウにもヒットする人物はおらんようやしな・・・」


「ああ・・・僕らがやってる作業はちゃんと約に立つんですかね?」


「まあ、この仕事は消去法でやっていくしか無いんやから・・・ガンバロや」


「はあ・・・」


井上はうんざりしてきた。


「まあ、でも俺らはまだ増しやで・・・白骨体の係りの人間は頭を抱えとる」


確かに・・・白骨体の人間は全く状況が確認出来ていない。


それに比べると・・・まだましか・・・


井上はそう思いながら、運ばれて来たコーヒーを飲んだ・・・


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