クライシス
「へへ、一回、ホテルのルームサービスでシャンパンを頼みたかってん」
そう雄介が笑った。
「そんなお金有ったの?」
由香が聞く。
「まあ、たまにはエエやん?」
雄介はシャンパングラスにシャンパンを注ぐ。そして由香に一個を渡した。
「じゃ、メリークリスマス!」
雄介が笑う。由香は納得出来ないまま、グラスを重ねた。

由香が目が覚めた時は、まだ真っ暗であった。隣の雄介は眠っている。
由香は少しの間、雄介を見つめた後にベッドを抜け出した。そして、そのまま洗面所に向かう。化粧をしたまま眠ったので、それを落としたかった。
洗面所に行き、化粧を落とすと少し落ち着いた気がした。由香は濡れた顔のまま鏡を見る。
……雄介がおかしい。絶対におかしい。お金の使い方もテンションもおかしい。挙動も不審だ。何を隠しているんだろう?
一瞬、由香は浮気を疑ったが、すぐにその考えを消した。雄介がそんなに器用では無い事を由香は知っている。それに、それならば急に由香に会いに来る事も辻褄が合わない。じゃあ、何?
由香は考えがまとまらないままに、顔を拭く為にタオルを探した。


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